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「おんなのこきらい」(ネタバレ) な、なにを表現したいの……?

ネタバレしてますので閲覧注意です!

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一部で話題になっている映画「おんなのこきらい」です。
監督は加藤綾佳さん。1988年生まれ。まだ26歳くらい。この若さでこれだけの作品を撮ってしまうのだから本当に凄い!凄いのはわかるけど私は全然面白くなかったです。結構前に観たので正直あまり覚えていないです……。
(上映後に監督と映画評論家の中井圭さんとのトークショーみたいなのがあった。中井圭さんという人を初めて知ったんだけど、絶望的に話の回し方が下手だなぁと思ったことだけは、はっきりと覚えている。その時だけかもしれないけど)。

 

解説

人気モデルで女優の森川葵が主演を務め、かわいいことが女の価値だと信じる主人公キリコの恋愛を通し、女心をポップかつ毒気を含んで描いた一作。26歳の新鋭監督・加藤綾佳がメガホンをとり、気鋭の監督とアーティストがコラボレーションした作品を上映する「MOOSIC LAB 2014」で準グランプリ、観客賞、最優秀女優賞、男優賞を受賞した。ルックスは抜群だが性格は最悪のOL・キリコは、かわいい食べ物を過剰摂取しては吐く過食症の女子。職場では男たちにちやほやされ、女子社員には嫌われているが、女の子の価値はかわいいことが全てと信じるキリコはどこ吹く風。そんな彼女は、バーで働くユウトと友だち以上恋人未満の煮え切らない状態が続いていたが……。主題歌や劇中歌を3人組エレクトロポップユニット「ふぇのたす」が担当。

キャスト
森川葵
木口健太
井上早紀
谷啓吾
松澤匠
(引用:映画.com)

 

30点

 

自分がこの映画で分からないと思った点、嫌いだと思った点を箇条書き( ;∀;)

◇キリコが最強最悪の悪女じゃないの?思ったより弱い女の子観せられても普通なのでは...。「可愛くて、最悪」じゃなくて「可愛いだけで、普通」だよね。
◇男女の会話とか姿にリアリティがあるって言われてるけど、幸太とかさやかみたなやつらがどこの世界にいるの?俺が非リアすぎるの?
◇この映画の出自と関係するからしょうがないんだけど、物語にまで「ふぇのたす」っていうアーティストを絡めるのはどうなの?ラストでスペシウム光線のポーズ取ってたのは映画的にノイズじゃないの?意味があるなら教えてほしい。
◇ラストで「私かわいいですから」みたいに締めるのは、ある意味で成長とも捉えられるし、ある意味で振り出しに戻ったとも取れるんだけど、前者には見えなかったよ……。信じた人に裏切られたわけだよね?
◇その長回し……効果的なのか……?。泣き顔、あまり観れてなかったのでアップで撮ろうよ…。


鑑賞前に期待値をあげすぎました!私の勝手な思い込みで、もっと黒々しく毒々しい女性が主人公だと思っていたのですが……。「私って可愛いでしょ?」キャラがもっと強烈に全面に押し出されるのかとワクワクしていたら、実際は対人関係に悩み葛藤する普通の女の子なんですよね('Д')。現実寄りな女の子の描かれ方をしていたので、ほかの作品にない突拍子もないものが観れると思っていた分、ガッカリでした。ただこれは映画の出来とは別に私の勘違いなので……。

キリコ(森川葵)は顔面偏差値がめちゃくちゃ高いOLで、その可愛さを武器にして生きている。職場での人間関係が悪くなろうがなんだろうが、可愛いが女のすべてだと信じて疑わない。過食症で部屋が汚い。糞リア充なBarの店員だか店長のユウト(谷啓吾)を彼氏に持っている。ユウトはキリコの顔面至上主義にちょっと飽き飽きしてるんだけど、びみょーな距離感の関係を保ち続けている。

職場内でのキリコの浮きっぷりや、可愛さ至上主義によって会社の同僚から相手にされない様子はとても面白かった。これはひとえに森川葵が、小動物感や、ビッチオーラはありつつ幼くて世界中の男子が好きになっちゃう女の子感、みたいなのを巧みに出しているからに尽きる(何を言ってるかさっぱりわからねーとはおもうが)。

キリコはデザイン会社勤務で、ある日会社の先輩と訪問した仕事先で幸太(木口健太)と出会う。キリコと幸太は専門学校時代の同級生だが、キリコは幸太のことを知らない。反対に学校でも可愛いと噂されていたキリコのことを幸太は知っている。幸太は和雑貨のデザイナーをしていて、職人気質、女性にはあまりがっつかない様子。キリコのことを一目見て「あ、こいつは変身しているな」と気づき、キリコの素の姿を引っ張り出していく。
ユウトの働くBarに新人の女の子が入ってくる。さやか(井上早紀)。ユウトは天然ビッチのさやかにメロメロになってしまい、キリコを捨てさやかとヤる。こんなさやかみたいなビッチ、どこの世界にいるのか監督に聞いてみたいんだけど、僕の住んでいない遠いリア充界には多く存在しているのかもしれない。界王神みたいな存在として。

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本当にガッカリしてしまうのはこの辺から。てっきりキリコが男を翻弄する話かと思っていたら、キリコはあっさり天然ビッチのさやかにやられてしまう。えええー。本当に普通の女の子じゃん。「メンヘラが実は普通の女の子でした」的な映画なら観に行くんじゃなかったよ……。さやかには勝ちもしくは引き分け以上の姿を見せておきながらも、そんな自分に嫌気がさして…とかならまだわかるけど。男も取られ、口でも負け、全面敗北したキリコは幸太を頼る。キリコには優しくしていた彼にも実は彼女(というか奥さん的な人)がいて、キリコは初めて信頼した人に裏切られた形になる。

面白いのが「おんなのこきらい」じゃなくて「おとのこときらい」のほうがタイトルとして合っていること。監督の「こんな男に騙されてきた!」「こんな男がむかつく!」みたいなメッセージをしかと受け取りました。どんな恋愛経験をされてきたか知りませんが、なかなかいないと思いますけどねこんな方々……。見方を変えれば男はずっとこの映画で馬鹿にされ続けている。キリコと中途半端な恋愛を続けて、目の前に美人という餌が投げられたらすぐにむしゃぶりつく理性のかけらもないユウトや、実は彼女がいるのにキリコという弱った女を快方してその気にさせ、でもセックスする気はないから直前になって現実をつきつける幸太。キリコの先輩で彼女がいるのにもかかわらずキリコとセックスする田辺とか。心底男が嫌いなんだろうなぁこの監督はと思いながら、ニヤニヤして観ていた。その点では性格の悪さが出ていてとても良かった。

この監督はテラスハウスみたいなリアリティーショー撮ったら面白いかも。

大体、幸太みたいな職人気質でくっそイケメンもリアルでないし、最初は童貞感丸だしだった幸太が急にキリコにやさしくなったりとか、いまいち感情の変化がわからない。

ちょっと背伸びしていた性格悪い女の子が、ちょっと挫折したらワンワン泣きわめいて、結果ちょっと成長したらしく次のステージへ向かう。単館系じゃなかったら興収爆死しているのでは、と心配になる映画でした。いやしかし、森川葵さんの演技はただただ素晴らしく、また若手監督だからこそ撮れるものも詰まっています。特にキリコが髪を切るシーンの神々しい感じは好きです。せっかく通過儀礼を済ましたんだからラストの展開はもっとわかりやすくしてくれ!

必見の作品となっておりますので是非劇場でご覧ください!!(ぇ